第78章 黒谷楓花が失踪した!

一瞬、南坂海乃は、以前先生が口にしていた言葉を思い出した。

経済学部で、兄ちゃんと唯一やたら親しい男。並外れた頭脳と、氷みたいに冷たい目をしている――そんな話。

胸がひゅっと持ち上がり、海乃は写真の隅々まで目を凝らした。

だが、肝心な情報は誰かに意図的に削り取られたみたいに、ほとんどが潰れている。

判別できるのは、名前の一文字だけ。

――術。

海乃はその写真を保存し、顔を上げて窓の外を見た。気づけば、半日が溶けるように過ぎている。

時刻は、すでに夕方六時。

立ち上がって体をほぐしながら、頭の中で当たりをつける。あの学部の事情にいちばん詳しいのは、きっと黒谷優しかいない。

同...

ログインして続きを読む